達也と会うのはもう3回目。出会ったきっかけは出会い系サイトです。初めて会った日から体を重ね合わせる関係になりました。
待ち合わせは街から少し離れた大阪高槻市。私はこの場所のことは何も知らないです。出会い系サイト内のメッセージで、会うことになった達也が指定してきた場所でした。初めてサイト内で誘ってきた時は、からかわれているのかと思うくらい、チャラい感じで、軽いノリ。
しかも私は29歳の人妻、相手は22歳の若い独身の男の子。
何で私なんかに声を掛けてきたのか?と思っていましたが、今まで付き合ったことがないタイプで軽いノリが面白く、「まあ、いっか会っちゃおっかな」というのが始めの気持ちでした。
待ち合わせの時間、JR高槻駅で降り、ロータリーを見回したけど、まだそれらしい車はないので近くのコンビニで暇つぶし。立ち読みをしながら、ちらちらロータリーを覗いていると、待ち合わせの時間を5分くらい過ぎた時に古くさい黒のワゴンRが入ってきました。
会ったことないけど、すぐ達也だと思い、交換していた電話番号に電話。案の定、そのワゴンRの若い男は携帯をポケットから取り出し、電話に出ました。
その電話を切り、車に駆け寄り、
「遅いよ〜」と私。
「5分は遅刻じゃないないでしょ〜」
初対面でこの返し。
今までの私なら怒ってそのまま帰ってしまうところですが、その憎めないヤンチャそうな笑顔を見ると許せてしまいます。
車に乗り込んだ後、知らない場所なので彼の言う通り動くしかなく、今日は達也が思う所に連れて行ってもらうことにしました。子どもの時以来行ったこともなかったファミリーレストランで食事をして、カラオケに行きました。
カラオケの時からボディタッチが多く、遊び慣れている風の今どきの男の子だなぁという印象。その後、ホテルに行きたいと誘ってきたので、OKしました。それ以来、会う度に体を求めてきますが、私もそれを望んでいます。
毎日、連絡を待ってしまう自分がいるのです。自分の中で認めたくなかったのですが、達也のことが好きになったみたいでした。
私は元ホステスです。夫はその時のお客さんでした。夫は40歳。配管業の会社の専務ですが、実家の稼業でいずれ父親の後を継ぐことになっており、いわゆる二代目です。私の働いていた店によく出入りしていた頃は金払いも良く、羽振りが良さそうでした。
私はてっきり金持ちなのかと勘違いし、結婚したら贅沢してもいいという言葉を真に受けて、彼を選んでしまいました。父親は経営、営業面では優れたものを持っており、全盛期の時は毎日新築で飲み歩いていたくらい儲かっていたようです。
今は不景気のあおりを受けて、会社も縮小傾向です。
父親だから保てている会社もいずれ二代目の夫に代わる頃には、倒産もあり得るんじゃないかと密かに思っています。夫に可能性を感じていないですし、愛がないのでやっていく自身はありません。
ありふれた普通の家に、安い肉で毎日作る手料理。今は一般的なサラリーマン家庭に比べれば、裕福な暮らしなのでしょう。でも私には満足出来ない地味な暮らしです。
私は頑張り屋さんではないですし、負けず嫌いでもないので、ホステス時代もそこそこの売り上げでしたが、それなりにお客さんが付いていました。毎週洋服や化粧品の買い出しに明け暮れ、エステに通う。
磨いた自分を鏡で見て、満足気に微笑むことだけしか生きていく楽しみが見出せないのです。
お金がないと生きていけない女なので、夢のセレブ主婦になれなかった今、男性からお金をもらうことに頭が行き、出会い系サイトを使うようになりました。よく考えてみると、今まで条件でしか男性を選んだことがなかったです。
人を好きになったことなど一度もなかったんだと思います。
でも、そんな自分がまさか出会い系で、若い男に恋をするなんて。今日も達也から連絡はありませんでした。プライドの高い私は自分から連絡することができないです。でも今、その殻をぶち破って、彼の胸に飛び込みたい。そんな衝動に駆られます。
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